葵くん、そんなにドキドキさせないで。
じゃないと、一々ドキドキしてる私がバカみたいでしょう……?
私の手をまだ掴んでいる葵くん。
その手をゆっくりとどけた。
「……これからは、友達としてよろしくね」
今日言うつもりなんて、なかったのに。
……言っちゃった。
これでおしまい。
私の気持ちも封印して、葵くんのことが好きって気持ちも忘れて、
それで……。
「っ、あ、おいくん……?」
それで。
「……田中さんって、ほんと、生意気」
どうして、そんな顔をするの?
……どうして、
葵くんが苦しそうにするの?