葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「こっち来て、田中さん」
爽やか王子様、ってみんなに呼ばれている葵くん。
…みんな、誤解してるよ。
「ゔ、ど、どうしても…?」
「当たり前。俺の言うこと聞けねぇの?」
ん、とクイっと顎を動かして来させた場所は、
…なんと葵くんの足元
な、何を考えているんだ葵くん…!?
こんな私をイスに座らせるわけにはいかないってこと!?
「ここ座って」
「えっ、えー…」
「早く。待たされるの嫌い」
…葵くんは、爽やか王子なんかじゃない。
ちょこん、と床に正座をする私を目を細めて満足気に見る
…まったく、爽やかじゃない。
「俺との約束に遅れないこと。」