葵くん、そんなにドキドキさせないで。


大野と田中さんが一緒にいるところを見てイライラしてたのは、

独占欲じゃなくて、ただの嫉妬だってことも、




「ちゃんと、分かってる」





俺の言葉、ちゃんと聞いてて

なんて続けた葵くんは、余裕がなさそうで、そんな葵くんに戸惑った。





「……田中さんと一緒にいると、調子狂うんだよ」


「……っごめ」


「田中さんから、離れたかった」





その言葉を聞いた瞬間、また涙がたまっていく。


葵くんは、私と離れたかったんだ。



そりゃ、そうだよね……。





耐えられなくなって、この場から逃げたくなって。


教室を出ようとすると。





「バカ。聞いててっつったじゃん」





葵くんにまた腕を掴まれた。


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