葵くん、そんなにドキドキさせないで。
***
12月25日、クリスマス当日。
ちょうど終業式と被っていたから、陽菜ちゃんは「最悪〜」なんて言ってた。
学校を大掃除して、式が終わって、平均並みの成績表をもらって。
HRも終わった今、私は葵くんの隣の席で日誌を書いていた。
「田中さんって、日直だったっけ」
「え?違ったけど……」
机にほっぺたをくっつけて、つまらなさそうに葵くんは言う。
「……お人好し」
その言葉に苦笑いをこぼした。
でも、言い訳させてくれないかなぁ。
「日直の子が、今日彼氏とデートだって言うから」
今日はクリスマスだし、遅れてしまったら可哀想だもん。
「へー。おかしいなぁ、俺と田中さんもこの後デートじゃなかったっけ」