葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「あのっ、でも!頑張ってバイトして、それで……そう!2年後ぐらいには買えるかかなって!」
「……ふはっ」
必死に葵くんを喜ばせようとそう言ったのに、
ど、どうしてお腹を抱えて笑ってるの?
「冗談に決まってんじゃん。本当に面白いよね、田中さんって」
「なっ!」
ま、またからかわれた……!
クツクツ笑う葵くんに、プクッとほっぺたを膨らます。
「ひどいよっ」
「あは、ごめんって。いじりがいがあるんだもん」
「もうっ……」
プイッと葵くんから目をそらして、日誌にシャーペンを走らせる。
視界の端で、また葵くんが机にほっぺたをくっつけたのが見えた。
その格好、ちょっと可愛いからズルイなぁって、思う。