葵くん、そんなにドキドキさせないで。
何にも言えないでいる私に、葵くんは満足したようで。
スッと私から離れたかと思えばカバンを持って教室から出ようとする。
「それ、書き終わったんでしょ。行くよ」
「あっ、ま、待って!」
慌てて私も自分のカバンと日誌を持って、葵くんの後に続いた。
廊下が思ってたよりも暗くてビックリ。
まだお昼の時間なのに……。
そういえば、今日は午後から雪が降るって天気予報で言ってたっけ?
「雪、降るかなぁ」
「えー……」
職員室で先生に日誌を渡して、玄関でローファーに履き替える。
葵くん、嫌そうな顔。
寒いのは、嫌い?
……あ、でも……。