葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「……顔、赤いね」
やっと離れてくれた葵くんは、少し満足そうで。
それに比べて私は、慣れないキスにぐったりとしてしまう始末。
私、葵くんのこと看病しに来たんだけどな……。
葵くんのことを軽く睨むと「何だよそれ、もう一回やって欲しいの」って言うから、
慌てて首を振った。
「……もうやだ。葵くんなんか嫌い……」
「嘘つき」
その掠れた声に、ゔっと言葉に詰まる。
「強引なことされても好きだろ、俺のこと」
上から私を見下ろして、ふ、と笑う葵くん。
……今日の葵くんは、いつもの倍、私のことをドキドキさせてくる。
「……好き」
「ん、いい子」