葵くん、そんなにドキドキさせないで。
□葵くんと私の恋愛契約。
2月18日。
学年末試験まで今日でちょうど1週間前。
「ねぇ、田中さん。数学の提出物って何だっけ」
私、田中華子、ちょっと気になることがあります。
「……聞いてねぇの?まぁいいや」
学校帰り、ガラスのテーブルに向かい合わせに座って、教科書とノートを広げて。
そんな私達がいる場所は、葵くんの部屋。
ここに来るのは看病しにきたあの日ぶり。
その時のことを思い出したら、ボッと顔が熱くなった。
「田中さん、なんで顔赤くしてんの?クーラー効きすぎ?」
葵くんの言葉に、ブンブンと首を振る。
違う違う、そんなんじゃなくて……。
"田中さん"
葵くんは、私のことをそう呼ぶ。