葵くん、そんなにドキドキさせないで。
な、何を……何を言うの葵くんっ!
クスクス笑わないでっ。
「俺はそれでもいいけど、どうしたい?」
顔を覗き込んで、悪戯っぽく笑う葵くんにかぁぁっと顔がまた熱くなった。
「べ、勉強シマス」
「はい、じゃあ集中して」
トンとおデコを人差し指で突いて、ふ、と今度は優しく笑うから。
ず、ズルいなぁ。
「で、数学の提出物ってなんだっけ」
「えっと、ワークと配られたプリント……」
でも、やっぱり私、"田中さん"じゃなくて、下の名前で呼んでもらいたいな。
さすがに欲張りすぎ?
ワガママかなぁ。
『葵くん、これバレンタインのチョコ!受け取ってくれる?』