葵くん、そんなにドキドキさせないで。

…………って、





「(………えっ！？)」






慌ててバッと左手を見る





「…これで許してくれる？」


「っふ、不意打ち…」





悪戯っぽく笑っている葵くん


ぜ、絶対わざとだ

また私の反応を見て楽しんでいるんでしょう。




繋がれた左手に視線を落とす




「あ、葵くん」


「なに？」


「…私たち、ちゃんとカップルに見られてるかな…」





私は、ただの女避け。

3ヶ月限定の偽彼女。



…葵くんのスキンシップが過ぎるのも、そうやってクスッと笑う顔も、






「当たり前じゃん。ちゃんと俺の彼女だよ、田中さんは。」






全部、私の困った顔が見たいからだ。




だから、こんなただの気まぐれに、

一々ドキドキしていたらダメでしょう。