葵くん、そんなにドキドキさせないで。
…体育館裏で何言われるんだろう?
田中さんごときが葵くんの彼女になってんじゃないわよ!
…とか?
ていうか、何人来るんだろう…
…痛いのは、嫌だなぁ…
「たーなーかーさん?」
「…へ」
すぐそばで聞こえた声に、慌てて顔を上げる
「あ、あああっ、葵く…ってちょっと!」
「コソコソして何企んでるのかと思ったけど…」
私の手からメモを奪った葵くんは目を細めて意地悪く笑った
「…ふーん…彼氏の俺より、こんなくだらない呼び出しのほうを選ぶわけ?」
「か、彼氏って…」
葵くんは本当の彼氏じゃないもん。
それに、私にとってはくだらなくなんかない。