葵くん、そんなにドキドキさせないで。
■田中さんが良かったんだよ、俺。
***
「じゃあ、何にもされてないんだよね!?」
「う、うん…!何とか!」
帰りのHRが終わった後、陽菜ちゃんはスポーツバックを肩にかけて「言うのが遅いよっ」って。
昼休みに呼び出されたことを言ったらこれだ。うう、ごめんなさい…
「はぁ…何にもされなくて良かったけど…心配だなぁ」
こんな細い腕じゃ反撃も出来ないだろうし…って、陽菜ちゃん、ちょっとくすぐったい
腕を触ってくる陽菜ちゃんだけど、時計を見て慌てた声を出した
「やばっ、部活始まる!」
「あ、頑張って!」
「何かあったら私に言うこと!喧嘩なら任せてっ」
えっと、喧嘩、は…良くないよ?
苦笑いをこぼして、陽菜ちゃんを見送る
「…さて、と…」