リボンと王子様
有無を言わせない公恵叔母さんの微笑みに。

「……叔母さん、本当にありがとう……!
すごくすごく素敵なドレス。
本当に嬉しい……!」

素直な感想を伝えた。

「ふふっ、気に入ってもらえて嬉しいわ。
さあ、着替えてきて」

優しい公恵叔母さんに背中を押されて、カーテンで仕切られた場所で着替えた。

破らないように、汚さないように細心の注意をして。



シャッ……。



カーテンをひいて、二人に姿を見せる。

「まあ、可愛い!」

開口一番そう言って、公恵叔母さんは嬉しそうに私を抱き締めてくれた。

「サイズもピッタリですね」

瀬良さんは全身を確認して、着替えで少し乱れてしまったウィッグを直してくれた。



「あら、もうこんな時間!
そろそろ行かなくちゃ、予約に間に合わないわ。
あ、その前に」



カシャッ。



公恵叔母さんがスマートフォンのカメラ機能で私の写真を撮った。

「記念にね」

「あら、公恵さん。
私が二人を撮るわ」

「そう?
じゃあ折角だし、撮りあいっこしましょ!」


キャアキャアと二人で盛り上がって私を写真におさめてくれた。

姉さんと穂花ちゃん、舞花ちゃん、のスマートフォンに送るわね、と公恵叔母さんは満足気に頷いた。


瀬良さんに見送られ、公恵叔母さんが用意してくれた車に乗り込んだ。
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