リボンと王子様
その瞬間。


私の顎に千歳さんの綺麗な指が触れた。

クイッと簡単に顎をあげられて。

私の唇の端に千歳さんの唇が触れた。


「ご飯、ついてたよ」


イタズラっ子みたいな表情を浮かべて千歳さんは私を翻弄する。


「ち、千歳さんっ!」

「本当、穂花、可愛すぎ」

フッと口角をあげて。

色気が漂う熱い瞳が私を射抜く。

……呼吸が止まりそうになって。

治部煮の味も全くわからなくなる。

何にも言えなくなる私の額に優しくキスをして。

「はい、穂花。
アーンして」


私の口に鶏を入れた。

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