リボンと王子様
向かった場所は、市内でも指折りの高級ホテル。

普段の私には全く縁がない場所だ。



「有子さんに教えていただいたのよ。
ここのフランス料理がとても美味しかったって。
私も初めてで、とても楽しみにしていたの。
さぁ、食事をいただきましょう!」

誰よりも張り切って公恵叔母さんはレストランへ向かう。



上品にまとめられた髪に、細身の身体を明るいベージュの夏素材のジャケットとお揃いのワンピース姿に包んだ公恵叔母さんは本当に素敵だ。

私の母は実用的、機能的な服装を好む人で公恵叔母さんほど服装に興味がない人だ。

そのせいか、母が若い頃は母の着るものを、私達が産まれてからはお宮参り、七五三等、装いが重視されるものは公恵叔母さんがアドバイスをしてくれた。

なので今日のことも、母は叔母さんに任せるわ、と満足そうだった。



元来そういうことが大好きな公恵叔母さんは、とても嬉しそうだった。

今から舞花の成人のお祝いのドレスは何にしようか考えていると食事に舌鼓をうちながら話してくれた。
< 12 / 248 >

この作品をシェア

pagetop