リボンと王子様
聞覚えのある声が背後から聞こえて。
反射的に振り返った。
「……ちと、響様……」
瑞希くんと同じスーツ姿の千歳さんはツカツカと近寄って、私の腕から瑞希くんの腕を放した。
私を自身の背中に隠す。
「……何の真似だ?
どうしてお前がここにいる?」
凍てつくような冷たさを滲ませた漆黒の瞳で瑞希くんを睨み付ける千歳さん。
どうしてここに千歳さんが……。
「……会議で急遽必要になった資料を取りに戻ったんだ。
そしたら……」
私の疑問を察したのか千歳さんが私に視線を向けた。
その瞳はいつもと同じ優しいもので、大きな安堵が私を包む。
でも、今は。
本当のことを千歳さんに言うことができない。
「あ、あのっ、響様っ。
ち、違うんです、人違いなんですっ」
咄嗟に、叫んだ。
「須崎家のお手伝いさんが急に詳しい理由も言わずに退職されたらしくて……その方に私が似ていたそうで、間違えて声をかけられたそうなんです……!」
必死で瑞希くんに、話を合わせてくれるようにアイコンタクトを送る。
納得していないような渋面で瑞希くんはチラリと私を一瞥して、千歳さんに向き直った。
「……ああ、そうだ。
手荒な真似をしてしまって申し訳ない……葛さん」
反射的に振り返った。
「……ちと、響様……」
瑞希くんと同じスーツ姿の千歳さんはツカツカと近寄って、私の腕から瑞希くんの腕を放した。
私を自身の背中に隠す。
「……何の真似だ?
どうしてお前がここにいる?」
凍てつくような冷たさを滲ませた漆黒の瞳で瑞希くんを睨み付ける千歳さん。
どうしてここに千歳さんが……。
「……会議で急遽必要になった資料を取りに戻ったんだ。
そしたら……」
私の疑問を察したのか千歳さんが私に視線を向けた。
その瞳はいつもと同じ優しいもので、大きな安堵が私を包む。
でも、今は。
本当のことを千歳さんに言うことができない。
「あ、あのっ、響様っ。
ち、違うんです、人違いなんですっ」
咄嗟に、叫んだ。
「須崎家のお手伝いさんが急に詳しい理由も言わずに退職されたらしくて……その方に私が似ていたそうで、間違えて声をかけられたそうなんです……!」
必死で瑞希くんに、話を合わせてくれるようにアイコンタクトを送る。
納得していないような渋面で瑞希くんはチラリと私を一瞥して、千歳さんに向き直った。
「……ああ、そうだ。
手荒な真似をしてしまって申し訳ない……葛さん」