リボンと王子様
本当のことを話した時、千歳さんはどんな顔をするだろう。

何を思うだろう。

……嫌われてしまうかもしれない。


そう思うと身がすくむ。

怖くて堪らない。

話さないで済むならどんなに楽だろう。


だけど千歳さんには正直な私でありたい。

四年もの時間を私に費やしてくれた千歳さんの真摯な気持ちにきちんと向き合いたい。


「……お姉ちゃん……」


心配そうな舞花に、無理矢理笑顔をつくる。


「千歳さん、待たせちゃってるね。
ほら、行こう!」


ポン、と舞花の肩を叩いて、玄関ドアを開けた。


「お早う、穂花」


昨夜も帰宅は遅かっただろうに、疲れを感じさせない魅力的な笑顔を千歳さんは向けてくれた。

何度近くで見ても慣れない端整な顔立ち。

白いパンツにデニム素材のシャツの袖を無造作に捲っている。


「姉妹水入らずの時間にお邪魔しちゃってごめん」

「ううん、舞花も千歳さんに会えることを楽しみにしていたから……」


話しながら千歳さんに部屋に入ってもらった。


「わあ、千歳くん!
久しぶり!」


ストレートな舞花の表現に千歳くんはフワリと目を細めた。

「久しぶり、舞花ちゃん。
すっかり綺麗な女性になったね」

「やだ!
千歳くんってば!」

楽しそうに笑い合う二人の姿に私の気持ちも明るくなる。
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