リボンと王子様
「でもいきなり、役職に就いたり、前に出ていっても他の方々からしたら鬱陶しいでしょ?
だから少しずつ復帰するつもりなの。
必要とされる部分から任せてもらって。
そのために松永秘書室長が色々教えてくださったり準備してくださってはいるんだけれど。
松永室長は孝さんの秘書だから忙しいでしょ?
だから私個人のための秘書というか手伝ってくれる人が必要なの。
今、秘書課はギリギリの人数だし。
新たに採用することになるなら、私がよく知っている、信頼できる人にと思って」


そこで公恵叔母さんは再びじっと私を見つめた。


「で、思ったの。
穂花ちゃんなら私のことをよく知ってくれているし、気兼ねすることなく任せられるわって!」

「お、思ったって叔母さん……私、秘書の仕事なんて全然わからないし、しかも叔母さんはあの須崎株式会社の社長夫人だし……もっと他に能力の高い相応しい人に就いてもらったほうが……」


気後れする私に。


「そんなに難しく考えないで。
仕事内容は追々実地で覚えて慣れてもらえばいいのだし。本格的な難しい業務は松永室長に教えてもらえばいいのよ。
だって新入社員の人は皆初めから完璧に何もかもできるわけじゃないでしょ?
私は穂花ちゃんに来てほしいのよ。
孝さんも是非って言ってたわ。
穂花ちゃんが嫌なら、姪だってことは黙っているし、ね?
お願い、穂花ちゃんしかいないのよ」
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