リボンと王子様
「そ、それは……」

「それは?」

「……つ、付き合おうって言われてなかったから……わ、私の思い込みだったらと思ったら……」

「何それ」


呆れたような声が頭上から降り注ぐ。


「舞花ちゃんの忠告通りだな。
穂花は変なところでネガティブ。
……お仕置きが必要だな」

「えっ?」


思わず顔を上げると色気を含んだ漆黒の瞳に囚われた。

妖艶な眼差しは私を動かなくさせる。

……何度近くで見ても、見惚れてしまう綺麗な瞳。


ドキンドキン……急激に早まる鼓動がうるさい。

吐息が触れるほど顔が近付いて、千歳さんがキスをした。

優しく私の下唇を舐めて、それから唇を合わせる。

キスの合間に千歳さんが話しかけてくる。


「……これからはちゃんと悩んだり考えていることを話して」


千歳さんの唇に翻弄されている私はただ頷いて、千歳さんの腕にすがり付くしかできずにいた。

何度も何度もキスを繰り返して。


力の抜けた私をギュッと胸に抱き締めたまま、千歳さんは急に低い声で話した。

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