リボンと王子様
公恵叔母さんに懇願され。

何を言っても明朗快活に解決策を出されてしまって。

辞退の言い訳が底をついてしまい。

私は最終的に頷いた。

……前途多難だけれど。


「良かった!
ありがとう、穂花ちゃん!
穂花ちゃんの卒業が待ち遠しいわ」

破顔して私の両手を握る公恵叔母さんの表情が本当に嬉しそうで、不安も心配も数え切れないくらいあるけれど、努力次第で何とかなるかもしれないと前向きに思うことにした。


それから。

公恵叔母さんと再び他愛ない話をして、食事を終えた。

ご馳走してくれた公恵叔母さんにお礼を言って。

私達はレストランを後にした。


エレベーターホールに向かう途中。

公恵叔母さんのスマートフォンが鳴り響いた。



「あら……孝さんだわ。
穂花ちゃん、ちょっとごめんなさいね」

私にことわって、公恵叔母さんは話し出した。

私はエレベーターホールに張り出されているフロア案内図を何気なく見ていた。

先程レストランで眺めていた夜景がよく見える屋上庭園がライトアップされているというポスターも貼られていた。


「穂花ちゃん」


電話を終えた公恵叔母さんが私に声をかけた。

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