リボンと王子様
公恵叔母さんを見送った後、屋上庭園に向かった。
屋上庭園とはいっても、高層階にあるわけではなく、別棟低層階の屋上の一部にある庭園のことだ、とエレベーター内に貼られている貼り紙で知った。
貼り紙から視線を横にずらすと。
エレベーター内の鏡に映る自分の姿が目に入る。
……この髪も、ドレスも。
自分では再現不可能なメイクも。
全てが夢のようで現実感がない。
しっかりと高いヒールで地面に足を着けているのに。
まるで羽根が生えた妖精になったかのように足下がフワフワしている。
エレベーター内に誰もいないことをいいことに、後ろ姿も鏡に映してみる。
『幸運のリボンよ』
公恵叔母さんがそう言って、瀬良さんと髪にゆるく編み込んでくれたオフホワイトのリボンがエレベーターの照明にキラリと照らされる。
少し幅広で、つるりとしたサテンの光沢がとても綺麗だ。
『穂花ちゃんのお祝い、というか幸せを祈ってイニシャルを端に刺繍してみたのよ』
公恵叔母さんの優しい声が頭の中で蘇る。
リボンにそっと触れる。
指先にはドレスとお揃いの淡いピンクのネイルが塗られている。
屋上庭園とはいっても、高層階にあるわけではなく、別棟低層階の屋上の一部にある庭園のことだ、とエレベーター内に貼られている貼り紙で知った。
貼り紙から視線を横にずらすと。
エレベーター内の鏡に映る自分の姿が目に入る。
……この髪も、ドレスも。
自分では再現不可能なメイクも。
全てが夢のようで現実感がない。
しっかりと高いヒールで地面に足を着けているのに。
まるで羽根が生えた妖精になったかのように足下がフワフワしている。
エレベーター内に誰もいないことをいいことに、後ろ姿も鏡に映してみる。
『幸運のリボンよ』
公恵叔母さんがそう言って、瀬良さんと髪にゆるく編み込んでくれたオフホワイトのリボンがエレベーターの照明にキラリと照らされる。
少し幅広で、つるりとしたサテンの光沢がとても綺麗だ。
『穂花ちゃんのお祝い、というか幸せを祈ってイニシャルを端に刺繍してみたのよ』
公恵叔母さんの優しい声が頭の中で蘇る。
リボンにそっと触れる。
指先にはドレスとお揃いの淡いピンクのネイルが塗られている。