リボンと王子様
「千歳さんと何かあったの?」


うどんを食べ終わって、二人で後片付けを済ませた後。

私達はリビングのラグの上に腰をおろした。


二回目の舞花の質問に。

私は重たい口を開いて、土曜日のことを話した。


舞花は暗く悲痛な表情を見せて、ポツリと言った。


「……そっか、バレちゃったんだ。
っていうか気付かれていたんだね」

「……うん」

「だから千歳くん、私にお姉ちゃんの様子を見に行くように蘭に言ったんだね。
……自分が行けないから」

「……」


まさか、千歳さんが蘭ちゃんにそんなことを頼むなんて思わなかった。


「……気持ちの整理がつかなくてもお姉ちゃんが心配なんだね、千歳くん」


舞花の言葉に私は俯いた。

……傷付けたのに、本当に優しい人だ。

千歳さんのほうが苦しんでいたのに。

私を気遣うなんて。


「……何て人……」


思わず零れた言葉はそのまま床に落ちた。


「蘭も心配してたよ。
いきなり千歳くんに頼まれたはいいけど、土曜日、有子おばさまとお姉ちゃんを二人にさせちゃったからかなって」

「……そんなことないよ……!
いずれわかることで話そうって思っていたことだから……むしろ有子おばさまとお話をする機会をくれて有り難かったよ。
心配してくれてありがとう、ごめんねって蘭ちゃんに伝えてくれる?」
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