リボンと王子様
「ほら、俺の告白は終わり。
……そんな顔しないで。
今すぐには気持ちを切り替えることはできないけれど、これからも穂花の幼馴染みでいさせてくれるか?」


穏やかに瑞希くんは微笑む。


ああ、もうどうして。

瑞希くんはこんなに優しいのだろう。


こんなにひどい態度の私なのに。

優しくしないで。


「そんなの……当たり前だよ!
何があっても瑞希くんは私の大事な大好きな幼馴染みだよ……!
……ごめん、ごめんね、瑞希くん……」


何を言えばいいのかわからず、ありのままの気持ちをぶつけた。

瑞希くんはそんな私をギュッと抱き締めた。


「……!」

「……ありがとう、穂花。
これは幼馴染みとして、兄としての抱擁だから。
顔を見ながら伝えるのは流石にキツいから、このままで話をさせて。

……母さんが余計なことをしてすまなかった。
正直悔しいけど……千歳は信頼できる人間だ。
千歳は、女にモテてたけど、俺の知っている限り、本命は今まで一人も居なかった。

そんなアイツが穂花を選んだんだ。
穂花のやり方は間違っていたかもしれないが、穂花に悪気があったわけじゃないことは誰よりもアイツがわかっている筈だ。

今は、アイツも気持ちの整理がつかないかもしれないけど、負けずに頑張れ」


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