リボンと王子様
「まずは謝らせてちょうだい。
本当にごめんなさいね……」


私の隣りに腰をおろした公恵叔母さんは申し訳なさそうに項垂れた。

公恵叔母さんは私と話すため、スケジュール調整をしてくれたそうだ。

多忙な人なのに、それほどまでに私のことを心配して気にかけてくれていたのかと温かい気持ちが胸に広がった。


「……公恵叔母……社長が謝る必要なんてないです。
最終的に決めたのは私で……千歳さんを傷つけてしまったのも私なので……」

「もう、穂花ちゃん!
今は叔母さんでいいから、変なとこで堅苦しくならないで」


涙目になりながらも注意してくる公恵叔母さんがおかしくて少し笑ってしまった。


「身体は大丈夫?
少し痩せたんじゃない?
きちんと眠れてる?」


母親のように矢継早に質問されて、苦笑した。


「……公恵叔母さん、私を秘書課に戻してくだってありがとうございます。
居場所があって良かったです。
月曜日はお休みをいただいてしまい、申し訳ありません」

「何言ってるの!
当たり前じゃないの、穂花ちゃんは私の大事な秘書よ!
休みも当たり前よ、本当に無理しないでちょうだい」


真剣にいってくれる公恵叔母さん。


「……穂花ちゃんに話さなければいけないことがあるの」


姿勢を正してソファに座り直した公恵叔母さんは、私に向き直り、重い口を開いた。
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