リボンと王子様
屋上庭園は閉園時間が近いせいか、人気はなかった。


「綺麗……!」


誰に言うでもなく、自然に口をついた言葉。

広さはないものの、そこは充分に魅力的な場所だった。

色とりどりの花が咲き誇り甘い香りが漂う。

きちんと剪定された樹木。

様々な濃淡のある葉の色は私の瞳を和ませる。

小さな散歩道とでも言えそうな細い通路をゆっくりと歩む。

ライトに照らされたそこは神秘的でもある。



「サルビア、シャクナゲ……」


立て札に記載された花の名前を口ずさみ、花を見つめる。

聞いたことのない名前の花、見たことのない花弁。

私が想像していたよりも、ここはずっと素敵な場所だった。


「ん?
このお花……何て言う名前だろ?
立て札、何処かな……」


気になる花の名前を知りたくて、キョロキョロ辺りを見回す。
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