リボンと王子様
「ただ、千歳くんはちょっと事情が違ってね。
有子さんが言うには、何人かとは付き合っていたみたいなんだけど、どうも本気で好きになった人も本気で恋をしたこともないみたいだったの。
ほら、千歳くんはあの外見でしょ?
女性が放っておかないのよね……なので基本的に来るもの拒まず、去るもの追わず、みたいな誰にも執着しないというか心を開かないというか」
以前、似たようなことを瑞希くんに言われた気がする。
知っていたせいかショックは感じなかった。
むしろ、あれだけの華やかな外見をしていて、仕事もできて、しかも響家御曹司ともなればモテない筈がないと思った。
「女遊び、という程ではないけれど。
有子さんはその中途半端な付き合い方、交遊関係を改めてほしいって願っていたのよ。
ところがね、ある時期を境に、どの女性ともお付き合いをしなくなったの。
有子さんは安堵したのよ。
やっとわかってくれたって。
ひっきりなしにお見合いの申し込みは来ていたし、そのことも話してみたらしいの」
私の知らない頃の千歳さん。
楽しい話の内容ではないけれど、ひとつでもたくさん千歳さんのことを知ることができることは嬉しかった。
「でも千歳くんはどの縁談にもどの女性にも見向きもしなかった。
それで、有子さんはその理由を聞いてみたらしいの」
そこで公恵叔母さんは優しい瞳で私を見つめた。
「……?」
有子さんが言うには、何人かとは付き合っていたみたいなんだけど、どうも本気で好きになった人も本気で恋をしたこともないみたいだったの。
ほら、千歳くんはあの外見でしょ?
女性が放っておかないのよね……なので基本的に来るもの拒まず、去るもの追わず、みたいな誰にも執着しないというか心を開かないというか」
以前、似たようなことを瑞希くんに言われた気がする。
知っていたせいかショックは感じなかった。
むしろ、あれだけの華やかな外見をしていて、仕事もできて、しかも響家御曹司ともなればモテない筈がないと思った。
「女遊び、という程ではないけれど。
有子さんはその中途半端な付き合い方、交遊関係を改めてほしいって願っていたのよ。
ところがね、ある時期を境に、どの女性ともお付き合いをしなくなったの。
有子さんは安堵したのよ。
やっとわかってくれたって。
ひっきりなしにお見合いの申し込みは来ていたし、そのことも話してみたらしいの」
私の知らない頃の千歳さん。
楽しい話の内容ではないけれど、ひとつでもたくさん千歳さんのことを知ることができることは嬉しかった。
「でも千歳くんはどの縁談にもどの女性にも見向きもしなかった。
それで、有子さんはその理由を聞いてみたらしいの」
そこで公恵叔母さんは優しい瞳で私を見つめた。
「……?」