リボンと王子様
「……恋や男女の仲は人がはかれるものではないわね。
私達の想像をはるかに超えて、あなたたちはお互いに気付いて、惹かれあっていた。
だけど同時に私達が下手に作り上げてしまった不安定な土台の中で二人を苦しめてしまうことになってしまったわ……。
今回の亀裂は私達の責任なのよ、本当にごめんなさい」


涙目になりながら公恵叔母さんは頭を下げた。

その姿に公恵叔母さんがどれだけ悲しんでいるかが窺えた。

私はブンブンと首を横に振った。


「ううん、謝らないで、公恵叔母さん！
私、有子おばさまや公恵叔母さんが悪いとか二人のせいだなんて思っていない。
有子おばさまや公恵叔母さんがいなかったら、引き合わせてくれなかったら、きっと千歳さんとは再会できなかった……」

「……でも」

「聞いて、叔母さん。
本当にそうなの。
私、こんな状況だけど、千歳さんのお手伝いさんになれたこと嬉しかったの。
お手伝いさん、という職業を少しでも知ることができた。
……千歳さんのこと、たくさん知ることができた。
数えきれないくらい色々な表情の千歳さんに出会えた」


それから私は公恵叔母さんに話した。


千歳さんが薄々、私が『葛城穂花』だと気が付いていたこと。

わかってしまうのは時間の問題だったということを。

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