リボンと王子様
私と王子様
「はい、そうですね。
三時から外出ですので、戻りは五時を過ぎます。
その後、三十分程でしたらお時間がございますが」


社長に時間をとってほしいという他部署からの依頼にスケジュールをチェックする。

その後、フェアリーの新作発表会に向けての招待状の確認。

松永室長に指示された資料の作成。


しばらく実務から離れていたけれど、復帰して一ヶ月が過ぎて。

何とか以前の感覚やペースを取り戻すことができていた。


職務の合間や自宅に戻っては最近のフェアリーをはじめとした我が社や他社の新商品をチェックし、頭に入れる。


以前、美冬さんに忠告してもらったように装いや化粧も少し変えることにした私はカラーコンタクトも今はやめている。

何を言われるだろうと最初はビクビクしていたけれど、意外にも周囲からの反応は好意的なものだった。

……何もかも私の考えすぎだったんだな、と痛感した。




忙しい毎日は今の私には大歓迎だ。

忙しければ余計なことを考えなくて済む。


千歳さんとは相変わらず連絡をとれていない。

恐らく帰宅をしてはいるのだろうけれど、避けられているのか全く姿を見ることがなかった。


……もう私の顔なんて見たくないのだろう。

引っ越したほうがいいのかもしれない。

ここ最近はずっとそのことを考えている。





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