リボンと王子様
「美冬さん……おはようございます」

「おはよう……大丈夫?」


気遣わし気に私を見る美冬さん。


「あんまり、大丈夫そうじゃないわよね。
何があったの?」

「……お昼休みに聞いてもらえますか?」


私の本当の休職理由も知っていて、何よりいつも気にかけてくれている美冬さんに嘘はつきたくない。

そう思って、美冬さんにお願いをすると。


「サンドイッチ、食べに行きましょう」


と笑顔で返してくれた。


それから。


いつも通りの業務をこなして。

昼休み。


美冬さんお気に入りのサンドイッチ屋さんにランチに行った。

外出でのランチは上司の許可が必要な為、松永室長の外出許可をもらった。


「やっぱり、このアボカドサンドは美味しいわ」


ご満悦な様子でアボカドサンドを口いっぱい頬張る美冬さん。

対する私は、ツナサンドを食べていた。


「で?
何があったの?」


不意に聞かれて。

私はサンドイッチを、食べる手をとめて話し出した。


話を聞き終わった後。

美冬さんは綺麗に描かれた眉をひそめた。


「それって、穂花ちゃんの誤解なんじゃないの?」


確信を持ったような言い方に瞠目した。


「な、何でですか?」
< 224 / 248 >

この作品をシェア

pagetop