リボンと王子様
やんわりと私を気遣ってくれる公恵叔母さん。

「うん……わかってる。
目立つことが苦手だから隠していただけなの。
窮屈、とかそんな風には思ってない。
今日美冬さんにもお化粧をしてもらって、気付かせてもらったの。
私、秘書課に配属してもらって仕事を教えてもらえることに感謝しているの。
まだまだ未熟だし失敗も多いけれど、頑張りたいって思っているから。
だから……これからもよろしくお願いします!」

「……穂花ちゃん。
ありがとう。
こちらこそよろしくね」

公恵叔母さんは私の握りしめた拳をぽんぽんと軽く叩いて微笑んだ。

それから、公恵叔母さんはパンッとひとつ手を打った。

「じゃあこの話はこれでおしまいね。
今日は何をいただこうかしら?
お腹がすいたわね!」

明るく話しかけてくれる公恵叔母さんに笑顔を返した。



程なくして私達を乗せたタクシーは目的地の料亭に到着した。

建仁寺垣が続く小道に豊かな緑。
その奥にあるどっしりした門構え。
都会とは思えない静かな佇まいに心が落ち着く。

店内に足を踏み入れると。

公恵叔母さんの顔馴染みである女将さんが出迎えてくださり、個室へと案内された。
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