リボンと王子様
女将さんがスッと障子をひくと、既に到着していた響社長夫人が嬉しそうに微笑んだ。
「お待たせしてしまって申し訳ありません」
公恵叔母さんが入口近くに腰をおろし挨拶をしようとすると、すぐに響社長夫人が立ち上がった。
「あらあら、そんな堅い挨拶、やめてちょうだい。
私も先程来たばかりよ」
「それでは、お料理の準備をしてまいりますので、どうぞおくつろぎ下さいね」
女将さんが退出すると、場が打ち解けたものに変わった。
秘書としての立場で挨拶しないでよ、と公恵叔母さんに車内で釘を刺されていた私が、ご挨拶をしようと口を開きかけた時。
「まぁまぁっ!
あなたが穂花さん?」
「は、はいっ……」
「すっかり大人の女性になられて!
公恵さんからお話を伺ってはいたけれど、ずっと会いたかったのよ……本当に懐かしい!」
目を細めて、ギュッと私の手を握って微笑んでくださる響社長夫人。
ショートカットの黒髪に年齢を感じさせない綺麗な肌。
若々しく、それでいて嫌味ではなく丁寧に施されたメイク。
白い手は、乾燥してガサガサの私の手より断然綺麗だ。
「穂花ちゃんは小さかったから覚えていないかもしれないわね。
有子さんと穂花ちゃんは随分前にお会いしたことがあるのよ」
呆然としている私に、公恵叔母さんが助け船を出してくれた。
「そう。
今から……十数年前かしら?
穂花さんはまだランドセルを背負っていたわ。
それはもう可愛らしくて!
すっかり綺麗な女性になっていて見違えちゃったわ」
「お待たせしてしまって申し訳ありません」
公恵叔母さんが入口近くに腰をおろし挨拶をしようとすると、すぐに響社長夫人が立ち上がった。
「あらあら、そんな堅い挨拶、やめてちょうだい。
私も先程来たばかりよ」
「それでは、お料理の準備をしてまいりますので、どうぞおくつろぎ下さいね」
女将さんが退出すると、場が打ち解けたものに変わった。
秘書としての立場で挨拶しないでよ、と公恵叔母さんに車内で釘を刺されていた私が、ご挨拶をしようと口を開きかけた時。
「まぁまぁっ!
あなたが穂花さん?」
「は、はいっ……」
「すっかり大人の女性になられて!
公恵さんからお話を伺ってはいたけれど、ずっと会いたかったのよ……本当に懐かしい!」
目を細めて、ギュッと私の手を握って微笑んでくださる響社長夫人。
ショートカットの黒髪に年齢を感じさせない綺麗な肌。
若々しく、それでいて嫌味ではなく丁寧に施されたメイク。
白い手は、乾燥してガサガサの私の手より断然綺麗だ。
「穂花ちゃんは小さかったから覚えていないかもしれないわね。
有子さんと穂花ちゃんは随分前にお会いしたことがあるのよ」
呆然としている私に、公恵叔母さんが助け船を出してくれた。
「そう。
今から……十数年前かしら?
穂花さんはまだランドセルを背負っていたわ。
それはもう可愛らしくて!
すっかり綺麗な女性になっていて見違えちゃったわ」