リボンと王子様
千歳さん、のことはわからないけれど。
瑞希くんの状況は少なからずわかる。
瑞希くんは一年程前から橘株式会社のニューヨーク支社にいる。
瑞希くんは確か国際事業部に所属していて、そこの米州担地域担当だった筈で。
そこから派遣されたらしい。
有子おばさまの話から察すると、千歳さんも同じ国際事業部になるのだろうか。
ニューヨークに赴任になる前、瑞希くんは貴重な時間を割いて私に会う時間を作ろうとしてくれた。
とは言っても多忙な上に、引っ越し準備もある瑞希くんなのでなかなかまとまった時間はとれず、瑞希くんが仕事で須崎株式会社の本社ビルがある本町近くに来ていた時、一緒にランチを食べた。
「来月からもうこんな風に会えないんだね……」
美冬さんに教えてもらった生パスタ専門店で、最近のお気に入りのクリームパスタを食べながら言うと。
瑞希くんはパスタを食べる手を止めて、ゆっくりと私を見た。
どの角度から見ても整った顔立ちをしている瑞希くんが、小さく首を傾げて尋ねた。
眼鏡の奥の綺麗な瞳を少し眇めながら。
「……どういう意味?」
「うーん、もういなくなっちゃうんだって思って……」
「……それだけ?」
「それだけって?」
キョトンとする私に、瑞希くんは小さく溜息を吐いた。
「……穂花は俺がいないと寂しい?」
「寂しいよ!
当たり前じゃない!」
瑞希くんの状況は少なからずわかる。
瑞希くんは一年程前から橘株式会社のニューヨーク支社にいる。
瑞希くんは確か国際事業部に所属していて、そこの米州担地域担当だった筈で。
そこから派遣されたらしい。
有子おばさまの話から察すると、千歳さんも同じ国際事業部になるのだろうか。
ニューヨークに赴任になる前、瑞希くんは貴重な時間を割いて私に会う時間を作ろうとしてくれた。
とは言っても多忙な上に、引っ越し準備もある瑞希くんなのでなかなかまとまった時間はとれず、瑞希くんが仕事で須崎株式会社の本社ビルがある本町近くに来ていた時、一緒にランチを食べた。
「来月からもうこんな風に会えないんだね……」
美冬さんに教えてもらった生パスタ専門店で、最近のお気に入りのクリームパスタを食べながら言うと。
瑞希くんはパスタを食べる手を止めて、ゆっくりと私を見た。
どの角度から見ても整った顔立ちをしている瑞希くんが、小さく首を傾げて尋ねた。
眼鏡の奥の綺麗な瞳を少し眇めながら。
「……どういう意味?」
「うーん、もういなくなっちゃうんだって思って……」
「……それだけ?」
「それだけって?」
キョトンとする私に、瑞希くんは小さく溜息を吐いた。
「……穂花は俺がいないと寂しい?」
「寂しいよ!
当たり前じゃない!」