好きです、センパイッ!!


その瞬間、また泣きそうになった。




「……なるみさんでしょ」




スマホを確認した先輩は、小さく頷く。

でも、まだ鳴り続けている電話に、出ようとはしなかった。





「邪魔、したくないんで行きます」


「あっ、おい!」




先輩に捕まらないように、駆け足で靴箱へと向かう。


なるみさんから電話が来るってことは、やっぱりまだ付き合ってるんだ。


それなのに、"好き"だと言った相手に対して、あんな、

……あんな期待させるようなことをするなんて。



……悔しい。


先輩は私のことなんか好きじゃないって分かってたけど、

それでも、先輩に一々ドキドキしてしまった自分が、悔しい。



まだ好きなんだって、嫌でも分かってしまう。

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