好きです、センパイッ!!


パチっと目があった。
向こうも、私に気づいた。


いつもなら気まずいなりに話しかけているところだけど……。



『可愛い』



……っだ、ダメだダメだ!!

昨日の今日で何ともないように話すのは勇気がいるよ!!


好きっていう気持ちがないにしても、恥ずかしいものは恥ずかしい。



パッと目を逸らした私。

ゴクリと唾を飲み込んで、高広先輩の横を通り過ぎる。


……だけど。




「っ、な、なにっ?」




すれ違いざま、
不意に先輩が手を伸ばして私の髪に触れた。

ひんやりと冷たい指が耳に当たって、思わずバッと真横にいる彼を見る。



「別に。ゴミついてたから取っただけ」



表情を変えずにそう言った先輩に口をパクパクとさせる私。


< 302 / 442 >

この作品をシェア

pagetop