好きです、センパイッ!!
パチっと目があった。
向こうも、私に気づいた。
いつもなら気まずいなりに話しかけているところだけど……。
『可愛い』
……っだ、ダメだダメだ!!
昨日の今日で何ともないように話すのは勇気がいるよ!!
好きっていう気持ちがないにしても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
パッと目を逸らした私。
ゴクリと唾を飲み込んで、高広先輩の横を通り過ぎる。
……だけど。
「っ、な、なにっ?」
すれ違いざま、
不意に先輩が手を伸ばして私の髪に触れた。
ひんやりと冷たい指が耳に当たって、思わずバッと真横にいる彼を見る。
「別に。ゴミついてたから取っただけ」
表情を変えずにそう言った先輩に口をパクパクとさせる私。