意地悪な集団
「で、さ。話って?」
「ああ・・・」
私が問いだすと直樹は少し黙ってしまった。

「真剣に・・・聞けよ?」
「うん」
「あの・・・な」
私は軽く頷いた。
「俺・・・実は結衣のこと―」
ブーーーン

途中でベンチのすぐ後ろの道路に車が走って、直樹の言葉が途切れてしまった。
「ごめん、もう1回!」
「だから・・・好きなんだよ」
「何が?」
「・・・やっぱ、何でもない。時間だし帰るわ!」
直樹はそう言って歩き出した。
私は後ろから話しかけた。
「え、途中じゃん。どーしたの?」
「塾があって」
直樹は振り向いてそう言うとまた歩いていってしまった。

「何それ」
1人で呟いたときに私はあることを思い出した。
そう、それは直樹の言葉。

車が通ってよく聞こえなかったけど、確か直樹は、私の名前を言っていた。
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