宮花物語
黄杏には、判断に困った。

「そうだ。黄杏さんは、何か得意な物は、お有り?」

気を使って、青蘭が話題を変えた。

「得意な……物?」

「ええ。奥様は舞がお得意なのよ。紅梅さんは、武術。私はこれでも、二胡が弾けるのだけど、黄杏さんは?」

黄杏は、困った。

舞も武術はおろか、楽器や歌も習った事がない。

強いて言えば……

「……料理、でしょうか。」

「料理!」

黄杏の言葉に、3人とも口を開けている。

「はい。今回、王が村へ来て下さった時も、宴の料理を手伝いました。料理人とまではいきませんが、そこそこは……」

すると白蓮と青蘭は、ほほほっと、口許を隠して笑った。

「……これは面白い。新しい妃は、自分が食べる物を、ご自分で調理できるのですね。」

「一度我らにも、手料理を、振る舞って頂きたいものですわ。」

そしてまた、クスクスと笑っている。
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