宮花物語
黄杏の屋敷に戻った二人は、どちらからともなく、唇を合わせ、お互いに着ている物を、脱がしていった。

黄杏のお付きの女人は、もう隣の部屋にもいない。


無事、信志を受け入れた事が分かったのか、それとも、二人の情愛の熱さに、側にいる事ができないのか。

それほど、二人が情を交わす声は、屋敷の周りを護衛する兵士でさえ、顔を赤くするものだった。

「あぁ……そんな目で信志様に見つめられると……胸の奥が、切なくなります……」

「どうして?今の私は、そなただけの物だと、知っているはずなのに……」

信志の熱を帯びるその瞳が、黄杏の火照った体に、悦びを注ぎ込むのだ。

「……綺麗だ、黄杏。なぜこんなにも、君は私を虜にしてやまないのだ。」

「それは……想い慕う方に、強く抱かれているからでございます……」


黄杏が信志の妃になって、二日目の夜。

二人は、夫婦になった喜びに、溺れているのだった。
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