宮花物語
「私達、同じ年でしょう。恥ずかしい事なんてないわよ。」

その言葉に、すっかり気を許した黄杏は、そっと湯船の中に入ってきた。

「奥様から聞いたわ。黄杏さん、王のお気に入りなんですってね。」

「そんな事は……」

謙遜しているが、顔は嬉しくて嬉しくて、仕方がないという表情だった。

「ちらっと見えたけれど、黄杏さんって、いい身体してるわよね。さすが、王が夢中になるのも、分かる。」

「いえいえ。紅梅さんだって、いい身体してるじゃないですか。」

照れながら答える黄杏は、紅梅の心の奥に、静かに嫉妬の炎を燃やした。


「ねえ、黄杏さん。」

「はい。」

「なぜ王は、妃が3人いるのに、また新しい妃を、迎えようと思われたのかしら。」

急に難しい質問をされて、黄杏は困る。

「……なかなか、お子様ができないからでしょうか。」

「そうね。」

紅梅は、ニヤッとして、黄杏に近づく。
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