宮花物語
白蓮と信志は、何年か振りに、見つめ合った。

「こうして君の顔を見るのも、いつ振りなんだろうか。」

信志は白蓮の頬に、そっと手を添えた。

「あまり……見ないで下さい。昔と比べて、年をとりました。」

「私もだよ、白蓮。」


しばらく見つめ合うと、どちらからともなく、相手を抱き寄せていた。

まだ勉学にも勤しんでいない、子供の時から、側にいた白蓮。

祖父が死に、皇太子になった時も、父王が死に、王の位を継いだ時も、当たり前のように側にいた。


襲いかかってきた隣国に出兵し、たくさんの血を見て、虚しさにかられていた時も、ただ側にいて、何気ない日常が大切だと教えてくれたのも、白蓮だった。

青蘭を迎えた時も、紅梅を迎えた時も、もちろん黄杏を迎えた時にも、変わらずに接してくれた、良妻だ。


「白蓮……私の子が、欲しいか?」

信志の胸の中で、白蓮は目を閉じた。

欲しく、ないわけがない。
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