宮花物語
「信志様!」

「黄杏!」

感激しながら抱き締め合った二人は、ずっと離れる事がなかった。

「でかした!でかした!黄杏!!」

「有り難うございます。まるで、夢のようでございます。」


この日。

第4妃・黄杏、懐妊の知らせは、宮殿中を駆け巡った。

宮殿の中は、祝いの一色に染まり、皆が歓喜にわいた。


他のお妃達も、祝いの品を持って、黄杏の屋敷を訪ねた。

「黄杏。先ずは、ご懐妊おめでとう。」

「有り難うございます、白蓮様。」

「これはまだ早いとは思うのですが、出産に必要な物を取り揃えました。」

白蓮が合図を送ると、次から次へと、品物が黄杏の屋敷の中に、運び込まれた。

「こんなに……」

「遠慮なさらずに、お使いなさい。」

「はい……」

自分の手を握ってくれた白蓮の手は、まるで観音様のようだった。

「あの……」

なぜ、新座者の自分が、懐妊したと言うのに、こんなに良くしてくれるのか。
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