宮花物語
黄杏には、分からない胸騒ぎがあった。

「何も心配なさらずに。」

「白蓮様……」

「王のお子を産む事が、妃の勤めです。まだまだ、これからですよ、黄杏。産まれるまで、気を抜かずにね。」

黄杏は、心の底から、白蓮に感謝した。


「しかし、大変な量の品物ね。」

「本当に。さすが奥様。」

続いて訪れた青蘭と、紅梅もこれには驚いた。

「でも、黄杏さんが一番始めに、懐妊するとは思っていなかったわ。」

今でも信じられない、青蘭。

「私はなんとなく、そう思っていましたわ。1ヶ月も王を独り占めすればね。」

半分嫌みを言う紅梅。

「せいぜい、途中で落とさないように、気をつけることね。」

「はいはい。」

紅梅の言葉には、嫌みの中にも、優しさもある事を、黄杏は知っていた。


一方で、黄杏に子ができた事は、里である多宝村にも、知らせが来た。

「黄杏……子が!」

父親も母親も、年の離れた弟も、一緒になって喜んだ。
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