宮花物語
「それならいいんだけど……」

胸騒ぎがした紅梅だが、変な事を言って、体に負担をかけるのもどうかと思い、それ以上は何も言わなかった。

「それにしても、黄杏さんにお子ができれば、こちらにも好機が巡ってくると思っていたのに、うまくいかないものね。」

「ごめんなさい、紅梅さん。」

これには、黄杏も謝るしかなかった。

「前と一緒ね。夜は黄杏さん。昼は青蘭さん。夕食は奥様。私とは、たまに体を鍛える相手。」

「まあまあ。」

黄杏は、紅梅の背中を擦る。

「あら。昼間、青蘭さんの元へ行ってると聞いて、取り乱さないの?」

「そうですね……なんとなく、そのような気がして……」

黄杏と紅梅は、そうやって、笑い合った。


「何やら、楽しそうだな。」

二人が前を見ると、そこには信寧王が立っていた。

「やはり、私の見立て通りだった。紅梅と黄杏は、仲良くなれると思ったのだ。」
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