宮花物語
髪を結い終えた黄杏は、立ち上がると黒音の前に座り、手を握りしめた。
だが黒音は、ここではいとは言えなかった。
黄杏の中にまだ、信寧王への愛が、溢れだしていたからだ。
これが少しでも萎まない限り、自分の安定した妃の地位は、訪れないかもしれない。
「信寧王様と黄杏様は、相思相愛の仲なのですね。」
「そうかしら……」
黄杏は、悲しい顔を見せた。
「信寧王様は、私にはっきりと仰せになりました。新しい妃を、迎える気はないと。」
「……王が?」
黄杏の顔が、みるみる明るくなっていく。
「はい。おそらく信寧王様の胸の内には、黄杏様がおありなのだと思います。」
動揺する黄杏に、黒音は作戦が動き出した事を感じた。
「王はまだ……私の事を想って下さっている?」
「はい。」
黒音が返事をすると、黄杏は立ち上がった。
「今……王は、どこにいらっしゃるのかしら。」
だが黒音は、ここではいとは言えなかった。
黄杏の中にまだ、信寧王への愛が、溢れだしていたからだ。
これが少しでも萎まない限り、自分の安定した妃の地位は、訪れないかもしれない。
「信寧王様と黄杏様は、相思相愛の仲なのですね。」
「そうかしら……」
黄杏は、悲しい顔を見せた。
「信寧王様は、私にはっきりと仰せになりました。新しい妃を、迎える気はないと。」
「……王が?」
黄杏の顔が、みるみる明るくなっていく。
「はい。おそらく信寧王様の胸の内には、黄杏様がおありなのだと思います。」
動揺する黄杏に、黒音は作戦が動き出した事を感じた。
「王はまだ……私の事を想って下さっている?」
「はい。」
黒音が返事をすると、黄杏は立ち上がった。
「今……王は、どこにいらっしゃるのかしら。」