宮花物語
「何を申されているのですか。本来ならば、子を生まなければならないのは、私でございます。私がこのように、歯がゆいばかりに、王にこのように悩ませているのです。」

「白蓮。そなたのせいではない。」

信志は、抱き寄せている白蓮を、その場に押し倒した。

「王!このような場所で……」

見れば、信志が押し倒したのは、椅子の前の床だ。

部屋の端には、白蓮付きの女人が、何人か立っている。

「拒まないでくれ、白蓮。お願いだ。」

信志は、白蓮に必死でお願いしている。


一国の王が、正妻に夫婦の営みを懇願している。

黄杏は、胸が張り裂けそうだった。

自分ならば、願い出る事など、必要ないのに。


「王……」

白蓮は王の気持ちを汲み取ってか、服を脱がされる事に、抵抗しない。

それを見て周りの女人は、顔を赤らめながら、部屋を出て行く。

黄杏は女人に気づかれないように、戸の影に隠れた。
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