宮花物語
「いつものように、信志と呼んでくれ。私は出会った時と同じように、そなたが恋しくしてたまらないのだ。」

二人は見つめ合うと、顔を少しずつ寄せ、唇を重ねた。

久しぶりに近づいた信志は、黄杏を抱き上げると、そのまま寝台へと横たわらせた。

「信志様、まだ湯も浴びていないというのに。」

「いいのだ。私とそなたの仲ではないか。」

信志と黄杏は、まだ陽が落ちていない中、着ている物を剥いで、情事にふけった。


黄杏の肌の匂いが、信志の鼻腔をくすぐる。

甘くて、自分の側にいると感じられる匂いだ。

首元に舌を這わせると、黄杏から甘い声が漏れる。

「ああ、黄杏……久しぶりに、そなたの体を触れる……」

その柔らかい肌に触れる度に、黄杏の体が気持ちよさそうに、うねっていく。

その様子を見るのも、信志の楽しみの一つだ。

やがて一つに繋がった二人の体は、汗でお互いの体の境界線が分からない程に、とろけ合ったのだった。
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