宮花物語
「宮中出入りの商人!?」

白蓮は再びため息をつきながら、椅子にもたれかかった。

それを、近くにいた護衛長の勇俊が支えた。

「なんてこと……宮中出入りの商人は、王に忠節を誓う者だけに許された特権。共に王に仕える者同士が、このような事をするとは……」


そこへ将拓も、一歩前に出た。

「正妃様!誓ってお妃様とは、何もございません!どうか信じて下さい!」

「こんな夜中に男女が落ち合いて、何を信じろと言うのです!」

白蓮は遂に、大声を出した。

「とりわけ黄杏!そなたは王のご寵愛を、一番に受けながらこの不届き!明日、王が帰還された後は、離縁を言い渡されると思われよ!」

「そんな!」

「この期に及んで、しおらしくするのか!命があるだけでも、有難いと思いなさい!」

そして今度は、将拓にその目が向けられた。

「そなたも商人でありながら、身の程を知らず、王の妃に手を出したこと、その命を以て償いなさい!」
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