宮花物語
「二人をこの部屋に、閉じ込めておきなさい。」

「白蓮様!」

思いは通じたのか、通じなかったのか。

黄杏は、生きた心地がしなかった。

「護衛長。そなたが共にいて、二人が逃げぬよう、見張っていなさい。」

「はい。」

白蓮は改めて、二人を眺めた。

「王に、判断を仰ぎます。」

「王に!?」

すると二人は、どこかしたホッとした表情を浮かべる。

まさか、王も知っている仲?

王は、何もかも知っていながら、黄杏を妃に迎えた?

「……くれぐれも、密談などされぬように。」

そう言って、白蓮は出て行った。

残されたのは、黄杏と将拓、そして護衛長・勇俊の三人。

誰もが黙って、じっと夜が明ける事を、待っていた。


王が来てくれれば、なんとかなさってくれる。

二人とも、そう思っていた。

そこへ勇俊が、口を開いた。

「お二人とも、王が帰還されても、油断は禁物です。」

「護衛長。」
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