宮花物語
その表情は、少しだけ冷たさを、緩めていた。

「……奥様は、何よりこの国に尽くされようとされている方。不義の疑いが晴れたとしても、何もなかったかのようには、されぬでしょう。特に将拓殿。」

勇俊は、将拓を見つめた。

「あなた様は、このままこの屋敷を出られるとは、思いますな。」

「護衛長殿……」

今までの態度から見て、こんなに心配してくれるとは。


「……なぜ、そのような事を、この私に?」

将拓は、改めて勇俊に聞いた。

「あなた方の間に流れる空気が、一緒なのです。それは、奥様もお気付きになったはず。」

黄京と将拓は、息が止まった。

「加えて、私がお見受けするに、お二人ともお顔立ちが、どことなく似ていらっしゃるような……」

それを聞いて、黄京も将拓も、顔を伏せた。

「やはり、お二人はご兄妹でございましたか。」


将拓は勇俊の前に、頭を着いた。

「何とか、して頂けないでしょうか。」
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