宮花物語
「男同士の話なのだ。そなた、席を外してくれまいか?」

「分かりました。」

ようやく動いた白蓮と入れ替わりで、忠仁が信志の元へやってきた。

「王。黄杏様の事、お聞きになりましたか?」

「まだ聞いておらぬ。が、想像はつく。」

「秘密が漏れれば、我らの立場もありません。」

「だが、あの二人を放っておくこともできぬ。」


信志も忠仁も、将拓の忠誠心を知っている。

だからこそ、何とか守り通したい。


「私の責になさって下さい。」

「忠仁……」

忠仁と信志は、向かい合った。

「だがそれだけで、白蓮の目を誤魔化せるか。」

「私にお任せ下さい。」

いつもは客観的に物を見る忠仁が、やけに感情的だ。


「……そなた、もしやあの者に、心奪われたか?」

忠仁はフッと、笑みを浮かべた。

「国の為王の為、そして妹の為、我が身を犠牲にしようとしたのですぞ?奪われない者がおりますか?」

「それもそうだ。」
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