宮花物語
そして信志は、忠仁と共に、白蓮の屋敷の広間へと、足を踏み入れた。

そこには、神妙な表情で俯いている黄杏と将拓の姿があった。


「白蓮、この者は?」

「……先日の夜、屋敷の外の門で、逢引きしていたのです。」

「逢引き!?」

信志のわざとらしい驚き方に乗って、黄杏と将拓は口を開いた。

「王!私は決して、不義など働いておりません!信じて下さい!」

「私もです!お妃様には、指一本触れてはおりません!」

そんな事は、言われなくても十分に分かっている信志。


その時、白蓮が動いた。

「黄杏は……櫛が買い求めたかったが、品が定まらず、皆の目がある手前、夜にこの商人を呼び寄せたと申しております。」

「ほう、櫛を……」

「将拓と言う商人は、黄杏の美しさに目が眩み、それを受け入れてしまったと。」

「そうか。」

「私は、黄杏に妃の位のはく奪を、将拓には死刑を言い渡すのが、適当かと。」
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